この度、令和4年度より全真言宗青年連盟(全青連)の理事長を仰せつかりました鈴木宏章と申します。
もとより浅学非才の身でございますが、誠心誠意与えられた職責を全うすべく精進してまいる所存です。
全青連は、真言宗各派総大本山会に加盟する十八本山および関係宗団の青年教師会、ならびにその会員をもって組織されており、約5,000名の会員が所属しています。
連盟規則には「宗相弘法大師の教義を根底として、全真言宗青年僧侶が一丸となって、鎮護国家・済世利人の実践に邁進すると共に相互の理解を深め親睦、協力をはかる事」を目的とし、そのための事業として「結集の開催」や「各種講習会の開催」などが謳われています。
昭和55年(1980年) 9月8日、9日に開かれた総本山智積院における発会記念結集をもって全青連は産声を上げました。その時の様子を『六大新報』の社説に
「待つこと十年-。本宗史上初、各派青年教師代表・有志二百六十余が一堂に会して、現代に生きる自己の役割を求めて真剣に討議した」(9月25日) とあります。爾来、各会派青年会が毎年持ち回りで結集を担当し、本年は第42回目を迎えます。創設以来約30年、結集は「現代に生きる真言青年の役割」を統一テーマに、各担当会派がサブテーマを考えて先に掲げた連盟の目的を達するため創意工夫を凝らして開催してまいりました。第30回以降は敢えて統一テーマを掲げずに開催しておりますが、現代に求められる真言青年僧の役割を常に模索しつつ、毎回のテーマが設定されてきたものと理解しています。
考えてみますと、「現代に生きる真言青年の役割」とはいかに普遍的なテーマでありましょうか。大きなものだけ拾ってみましても、弘法大師入定1150年御遠忌を記念した映画『空海』の製作・上映にはじまって、平成7年の阪神・淡路大震災を契機に災害救援事務局を発足させ、炊き出しをはじめとする数々の支援事業や慰霊法要を営み、平成23年の東日本大震災では“ひのきのつみき”プロジェクトなど種々の支援活動と津波被災地で捧げた鎮魂と慰霊の祈り、平成27年には太平洋戦争終結70年の節目に鹿児島、長崎、広島を巡った「平和祈念修行」など、時代時節に応じて、その時に求められる真言青年僧の役割を探求し、実践してきたのが全青連であります。
時は移って世は令和。一昨年より世界で猛威を奮う新型コロナウイルス感染症の終息が未だ見通せない中ではありますが、本年の第42回結集は、大覚寺において開催いたします。また弘法大師ご誕生1250年の令和5年には善通寺にて第43回結集を予定しております。真言末徒が相集い、疫病の早期におさまらんことを、また大師誕生を寿ぎ報恩謝徳の祈りを、それぞれ共に捧げられたら嬉しく思います。会員皆さまの奮ってのご参加をお願い申し上げます。
地域や宗派の垣根を越えて、現代に生きる我々全真言宗の青年僧が一丸となって、いま求められる役割を的確に捉え行動すべく、皆さま方と知恵を出し合いながら連盟の運営に当たってまいりたいと存じます。
末筆ながら、何卒これまで同様のご厚誼を賜りますようお願い申し上げ、就任のご挨拶とさせていただきます。
合掌